CCNA・Linux+・AWS SAAを英語で受験した話とAIの使い方
CCNA・CompTIA Linux+・AWS SAAをすべて英語で受験した体験記。AIをどう活用したか、英語受験を選んだ理由、各資格の学習の進め方をまとめています。
はじめに:なぜ「英語受験」にこだわったか
CCNA・CompTIA Linux+・AWS Solutions Architect Associate——この3資格をすべて英語で受験しました。日本語受験が可能なものもありますが、それでも英語を選んだ理由は、試験に合格することだけが目的ではなかったからです。
英語で受けることで「英語で技術情報を処理する回路」を鍛えたいと思っていました。
日本語受験の場合:
学習 → 日本語テキスト → 日本語試験 → 合格
↓
実務で英語の公式ドキュメントを読む際、
「改めて英語で学び直す」コストが発生する
英語受験の場合:
学習 → 英語一次情報 → 英語試験 → 合格
↓
実務で公式ドキュメントを読む際、
「同じ語彙・同じ文脈」で即アクセスできる
試験と実務で使う語彙・概念の体系を統一することが、英語受験を選んだ一番の理由です。
学習方針:何を「正典」とするか
一次情報を中心に置く
日本語のテキストやブログ記事には入門として助かる部分もありますが、一次情報(英語の公式ドキュメント)の翻訳・解釈・要約である以上、どうしてもラグや抜けが生じます。試験範囲が更新されても日本語教材の改訂は遅れることもあります。
そこで、学習の中心は英語の一次情報に置くようにしました:
| 情報の種類 | 扱い | 具体例 |
|---|---|---|
| 英語公式ドキュメント | 中心に置く | Cisco公式・AWS Docs・CompTIA Exam Objectives |
| 英語問題集・模擬試験 | 主教材 | Boson ExSim、Neal Davis Practice Tests |
| 英語技術書・コース | 補助 | 公式テキスト、Udemy英語コース |
| 日本語テキスト | 概念を最初に掴む補助として | 理解の足がかりに |
AIの使い方
AI(ChatGPT・Claude)は学習効率を大きく変えてくれました。ただし「AIに聞けば何でも解決する」という使い方だと、本質的な理解に達しないと感じました。役割を分けて使うのが大事だと思っています。
AIに任せた部分
✅ 概念の「最初の説明」を生成してもらう
→ 「Explain OSPF LSA types in simple terms」
→ 概念の輪郭を掴む足がかりとして使う
✅ 誤答の「なぜ間違いか」を解析してもらう
→ 模擬試験で間違えた問題の選択肢を全部貼り付けて
→ 「Why is option B wrong and option D correct?」
✅ 自分の理解を「ラバーダック」として話す
→ 「Let me explain how BGP route selection works.
Tell me if my understanding is correct or not.」
→ アウトプットすることで自分の理解の穴が見えてくる
✅ 英語の言い回しの確認
→ 「Is 'egress filtering' the correct term for...?」
AIに任せなかった部分
❌ 「この問題の答えを教えて」
→ 答えを得ても理解は生まれない
❌ 最終的な正誤判定の根拠
→ AIは誤情報を確信を持って生成することがある(ハルシネーション)
→ 必ず公式ドキュメントで確認する
大切にしたこと: AIの出力は「理解の出発点」であり「正解の提供」ではありません。最終的な確認は公式ドキュメント・公式模擬試験で行いました。
各資格の学習の進め方
CCNA(Cisco Certified Network Associate)
難しかった部分: ルーティングプロトコル(OSPF・EIGRP)、スイッチング(STP・VTP・EtherChannel)、セキュリティ設定の複合問題
学習の流れ(約1.5ヶ月):
Week 1-2: 基礎固め
- Udemy: Jeremy's IT Lab(英語・無料)で全範囲をインプット
- 各セクション視聴 → Packet Tracer でハンズオン → AIに理解確認
Week 3-4: 問題演習
- Boson ExSim for CCNA(英語問題集)を1周
- 正答率が低いドメインを特定 → 集中補強
Week 5-6: 弱点補強 + 模擬試験
- 誤答問題のみ再演習
- 本番形式の模擬試験を時間計測で2回実施
AIの具体的な使い方(CCNA):
OSPF LSAタイプの混乱を解消した例
Me: "I keep confusing LSA Type 3 and Type 5.
Can you explain when each is generated and
how they travel across OSPF areas?"
Claude: "LSA Type 3 (Summary LSA) is generated by ABRs
to advertise networks from one area to another.
LSA Type 5 (AS External LSA) is generated by ASBRs
to advertise external routes into the OSPF domain.
Key difference: Type 3 stays within the OSPF domain,
Type 5 comes FROM outside OSPF entirely."
→ 「ABR vs ASBR の役割」という軸で整理されて定着しました
本番試験で意識したこと:
CCNA試験にはシミュレーション問題(実際にCLIを操作する問題)があります。show running-config・show ip route・show interfaces の出力の読み方を英語コマンドのまま理解していたことが直接役に立ちました。
CompTIA Linux+(XK0-005)
難しかった部分: systemd・SELinux・コンテナ(Podman)・シェルスクリプト・ネットワーク設定(nmcli)
学習の流れ(約2ヶ月):
Phase 1: 環境構築(1週目)
- スペアPCにUbuntuを用意
- 「読むだけの学習」ではなく「手を動かす学習」を意識
Phase 2: ドメイン別インプット(2-5週目)
CompTIA公式 Exam Objectives(英語PDF)を教科書に:
- Domain 1: System Management
- Domain 2: Security
- Domain 3: Scripting, Containers, and Automation
- Domain 4: Troubleshooting
Phase 3: 演習 + 弱点補強(6-8週目)
- Jason Dion のPractice Tests(英語)を活用
- SELinux・systemd周りはコマンドを手打ちして体で覚える
ハンズオンで身につけたコマンド:
# systemd の確認・操作
$ systemctl status nginx
$ journalctl -u nginx --since "1 hour ago" -f
$ systemctl list-units --type=service --state=failed
# SELinux の操作
$ getenforce
$ sudo semanage port -l | grep http
$ sudo restorecon -Rv /var/www/html/
$ sudo ausearch -m AVC -ts recent
# ネットワーク設定(nmcli)
$ nmcli connection show
$ nmcli device status
AWS SAA-C03(Solutions Architect Associate)
難しかった部分: 高可用性設計・コスト最適化・セキュリティ設計・ネットワーク設計の複合シナリオ問題
学習の流れ(約2ヶ月):
Phase 1: サービス全体像の把握(1-2週目)
- Stephane Maarek の Udemy コース(英語)を通し視聴
- 「何ができるサービスか」の地図を先に作る
Phase 2: シナリオ問題演習(3-6週目)
- Neal Davis の Practice Exams(英語)
- 「なぜその答えか」をAIに説明させる → 自分の言葉で言い直す
Phase 3: 弱点ドメインの実機確認(7-8週目)
- 理解が浅いサービス(Direct Connect・Transit Gateway等)は
AWSの実機を触りながら公式ドキュメントを精読
SAAで重要だと感じた読み方:
設問例:
"A company needs a solution that provides
sub-millisecond latency for real-time
leaderboard data, with automatic failover
across multiple AZ."
読み方:
1. "sub-millisecond latency" → インメモリDB(ElastiCache Redis)
2. "real-time leaderboard" → Redis の Sorted Sets
3. "automatic failover" → Multi-AZ が必要
4. "multiple AZ" → ElastiCache Redis(Cluster Mode Enabled)
→ 英語の技術用語が概念と直結していると、
日本語に変換しなくても選択肢が絞れるようになりました
英語力との相乗効果
資格学習と並行して、TOEIC L&R のスコアアップも同時に狙いました。
技術英語で鍛えられる「長い条件節を含む複文の読解」や「細かいニュアンスの識別」は、TOEIC Part 7 で問われる能力とほぼ重なっています。両者を切り離さず、同一の学習活動として進めることで相乗効果がありました。
まとめ
英語受験という選択は「英語力を証明するため」でも「難しいことへの挑戦」でもありませんでした。
実務で必要な情報源(英語の公式ドキュメント)と、学習で使う情報源を統一する——それが一番の狙いでした。試験のために覚えた概念・コマンドが、そのままの語彙で公式ドキュメントに繋がっている感覚は、学習が進むほどはっきりと感じました。
AIは「理解を加速するツール」として非常に役立ちましたが、最終的な精度は一次情報への直接アクセスと手を動かしたハンズオンの量が決めると感じています。
| 資格 | 受験言語 | 合格時期 |
|---|---|---|
| 基本情報技術者(FE) | 日本語 | ※就職後に取得 |
| Cisco CCNA | 英語 | 2025年6月 |
| CompTIA Linux+ (XK0-005) | 英語 | 2025年9月 |
| AWS SAA-C03 | 英語 | 2025年11月 |
| TOEIC L&R | — | 890点(2026年2月受験) |
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